2021年11月から上演された『演劇女子部「図書館物語〜3つのブックマーク〜」』に行ってきました。
3パートがそれぞれ関連し合うストーリーということで、考察も盛り上がってほしいところ。
とりあえず自分が見てきた感想や考察などを、あらすじと共に紹介していきます!
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各パートのあらすじ
#1 Past(過去編)
サブキャスト / 石栗奏美・平山遊季・松原ユリヤ・石山咲良
あらすじ
戦前の女学院での物語。
校長が学校新聞の廃止を決めたので、それに抗議すべく図書館に籠城する新聞部。
生徒会一同も力を貸すと立ち上がる。
「叩けよ、さらば開かれん」
→『スッペシャルジェネレーション』を歌う。
ネタバレ
生徒会「新聞部に全面協力する」
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しかし生徒会は籠城に反対で、校長から奪っていた高価な壺を持ち出してしまう。
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キレる新聞部に生徒会長の夏目薫(演:小野田)が説得。
薫「校長が気に入る記事を書けばいい」
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反対する新聞部。学校新聞を廃刊にさせられる理由が、実は校長の闇を暴く記事を書いたことだった。
特に部長の宮沢文子(演:米村)は持病で好きなことを我慢させられ続けてきたので、今度ばかりは引き下がりたくないと語る。
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生徒会員の三島佐和子(演:松原)が持ち出した壺を割ってしまい、校長との和解が不可能に。
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かつて薫が書いていた小説の話に。
幼馴染だった文子が薫に小説を書かせたところ、たちまち才能を発揮したという。
しかし校長に酷評されたことで小説を書かなくなっていた。
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過去に校長の酷評した作品がヒットしていたことが発覚。
校長には作品を見る目がないということで、薫が再び小説を書くことを志す。
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新聞部と薫が手を結び、校長の闇を暴く内容を密かに盛り込んだ小説『図書館物語』を学校新聞として連載することに。
→『Rainbow』を歌う。
#2 Now(現代編)
サブキャスト / 橋田歩果・村越彩菜・米村姫良・斉藤円香
あらすじ
現代の女学院でナゾを解決する探偵たちの物語。
依頼解決の100件突破まであと2件まで迫った名探偵・綾辻深月(演:北原)と、その助手・東野りさ(演:平山)が推理を繰り広げる物語。
今回の依頼は「演劇部の部費盗難事件」と「生徒会の悪いウワサ吹聴事件」。
いつものようにスラスラと謎を解いていく探偵だったが…。
→『This is 運命』を歌う。
ネタバレ
容疑者として呼び出された演劇部の伊坂しをん(演:吉田)と新聞部の村上詠美(演:石山)が、最後まで無実を主張する。
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これまでポンコツだったりさが何かに気づき、自分なりの推理を展開する。
「依頼解決の100件突破を目前とした深月が、この事件自体をでっち上げたのではないか」。
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「素晴らしい推理だ」と褒める深月と容疑者の2人。
実はこの事件、りさの推理力を試すためのテストだった。
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しかしそれでは依頼解決100件に到達しないと語るりさに対し、深月は「助手をテストに合格させること」「助手を自分の後継者にすること」という2つの依頼を投げかける。
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葛藤の末、自分が深月の後継者となることを了承したりさ。
りさ「叩けよ、さらば開かれん…」
→『きみの登場』を歌う。
#3 Future(未来編)
サブキャスト / 吉田姫杷・小野田華凜・窪田七海・北原もも
あらすじ
共学となった未来の学園に通う少年発明家・コナン(演:石栗)と、その幼馴染・アガサ(演:橋田)の物語。
未来で解明されたパーソナル遺伝子によって、アガサの引っ込み思案な性格が先祖の影響によるものと判明した。
コナンは自身が発明したタイムマシンによって過去を変え、アガサの性格を前向きなものにしようとする。
→『時空を超え 宇宙を越え』を歌う。
ネタバレ
アガサが引っ込み思案な性格になってしまったきっかけが、ひいおばあちゃんである朝井夏生(演:斉藤)の起こした失敗だった。
演劇部だった夏生は舞台の主役を演じることになるが、プレッシャーに耐えきれず逃げ出してしまう。
そこからネガティブな性格が根付いてしまい、満足な人生が送れなかったという。
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タイムマシンを使って現代へと向かい、夏生に舞台から逃げないよう説得する2人。
しかしその性格はすでにネガティブなものだった。
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未来の端末で夏生を調べたところ、ネガティブなのはさらにひいおばあちゃんである三島佐和子(演:松原)の失敗が影響していたことが発覚。
生徒会員である佐和子が校長の大事な壺を割ったことで、引っ込み思案な性格となってしまう。
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コナンが過去へ行き、佐和子が運ぼうとしていた壺を自分で校長室まで運ぶ。
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現代に戻ると、そこには様変わりしたアガサと夏生の姿。
天狗と間違えられたコナンを佐和子が手懐けたとして有名になり、一族に超ポジティブな性格が遺伝していた。
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2人を自分の知っている姿に戻そうとコナンが再び過去へ行くが、やはり説得には応じてもらえない。
”百聞は一見にしかず”ということで、佐和子を無理やり現代へと連れていく。
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現代へと戻ったコナンだったが、そこにはアガサと夏生の姿がない。
過去から佐和子が消えたことで、子孫が消滅していた。
またこの世界線では『図書館物語』も執筆されていない。
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後悔するコナン。
アガサを取り戻すべく佐和子を過去に帰そうとしたところに、時空警察が立ちはだかる。
なんとか状況を戻して欲しいと懇願するコナンに対し、発明の才能と引き換えに条件を飲む時空警察。
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アガサが好きだと語るコナンだが、AIによると2人の相性は30%だという。
自信のないコナンに佐和子が励ましの言葉を送る。
佐和子「そんなよくわからない物の言うことを信じるの?私は自分を信じる。」
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記憶と状況が全てリセットされ、最初のシーンに戻る。
どこか懐かしい匂いのする『図書館物語』の「叩けよ、さらば開かれん」という言葉に背中を押され、アガサに想いを伝えるコナン。
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気持ちに応え、アガサがコナンを抱きしめる。
→『初恋サイダー』を歌う。
全体を通しての感想、考察
物語の軸
各パートで完結するストーリーがありつつ、全てを通して見ることもできる今回の舞台。
大きなテーマとして挙げられるのが「『図書館物語』の本」と「アガサの家系」ではないでしょうか。
Pastのストーリーで生まれた『図書館物語』と「アガサの先祖である三島佐和子のネガティブな遺伝子」。
その後を描いたFutureのストーリーで、アガサの受け継いだネガティブな遺伝子が『図書館物語』によって変えられます。
皮肉にも『図書館物語』が生まれるきっかけとなったのが佐和子の失敗ということで、自ら子孫を救う形になりました。
不幸なまま人生を終える夏生と佐和子ですが、最後の『初恋サイダー』ではコナンとアガサの子孫カップルを笑顔で囲むシーンがあったので報われたと言っていいのかもしれませんね。
主人公の成長
各パートの主人公は、物語の中で大きく成長を遂げます。
Pastの宮沢文子は自分の意見を貫くだけでなく、現実的な妥協案を探りました。
Nowの東野りさは自分に自信がない中、優秀な探偵の後を継ぐことを決心しました。
FutureのコナンはAIではなく自分の気持ちを信じ、アガサに想いを伝えました。
舞台の最後に披露されるテーマソング『ブックマーク』のBメロでは、この3人が前列で歌うシーンもあります。
重要な2番手役の存在
これら主人公の成長には、2番手役の登場人物たちが大きく影響しています。
Pastの夏目薫、Nowの綾辻深月、Futureのアガサですね。
3つの物語を一貫するテーマの重要人物にもなっていそうなところ、綾辻深月だけ関係が薄いのは気になります。
Nowパートのラストでは海外に飛び立つこととなった綾辻深月。
Futureパートの最初でアガサが好きだと言っていたエドガー先輩と何か関係があったりすると面白いんですが…。
Nowパートの存在意義
全パートを一貫するテーマとしては、あまり意味のなさそうなNowのストーリー。
強いていうならば生徒会と新聞部の存続、そして何より『図書館物語』が、受け継がれていることを確認するパートだったのかなぁと思います。
そこで登場する生徒会は悪いウワサが流されていました。
根も葉もないとされていますが、それにしては生徒会員たちの挙動が怪しかったのが印象的。
もしかすると、夏目薫をはじめとした毛高き生徒会が時代とともに腐ってしまったことを表していたんでしょうか。
その他もイロイロ気になった所はありますが、その辺は動画で…。
各メンバーの感想
#1 Past(過去編)
宮沢文子(演:米村姫良々)
Pastの主人公である新聞部長を演じました。
キャリアが長いぶんアイドルとしていろんな顔を持っているからか、良くも悪くも“米村姫良々”だったなぁという感想です。
Nowで演劇部として登場したときの、気だるそうな発声練習が1番ハマってたかもしれません。
梶井晶子(演:窪田七海)
新聞部長の右腕的ポジションを演じました。
米村姫良々ちゃんとの関係がそのまま現れた役割がよかったですね。
Futureでは時空警察の男役?で登場し、舞台経験者として幅の広い演技を見せてくれました。
夏目薫(演:小野田華凜)
『図書館物語』を執筆した生徒会長役という、超重要な人物を演じました。
窪田七海ちゃんと同じく舞台経験者ですが、コチラは幅の広さというより繊細な表情の使い分けが良かったですね。
成長という意味では主人公でもおかしくない大役で、心境の変化がうまく演技に出ていたんじゃないでしょうか。
夢野綾子(演:村越彩菜)
あまり籠城に乗り気ではない新聞部員を演じました。
終始なにかに流されるという性格は、村越彩菜ちゃん本来のマイペースさと真逆で新鮮ですね。
一方Nowパートで演じたブリっ子な生徒会員役では、普段の不思議キャラが滲み出ていた気がします。
#2 Now(現代編)
綾辻深月(演:北原もも)
淡々と推理を述べる名探偵役を演じます。
長文かつ早口なセリフの連発で、おそらく今回の舞台で最も難しい役割を見事にこなしていました。
Futureで演じた時空警察しかり、研修生ユニットの先輩たちに強く当たるシーンが多かったのが印象的です。
新グループの活動においても、最年少らしからぬ姿を見せ続けて欲しいですね。
東野りさ(演:平山遊季)
綾辻深月の助手を務める、おっちょこちょいな女の子を演じました。
序盤は深月に頼りきりだったものの、終盤では主役らしい立派な成長を遂げます。
天真爛漫なキャラクターは普段とギャップがあるようにも思えますが、実は平山遊季ちゃんがステージでは見せない本来の姿に近い気もしました。
村上詠美(演:石山咲良)
事件の容疑者として呼び出される新聞部員を演じました。
ハキハキと喋るタイプなので、どちらかといえば演技向きではない雰囲気はあります。
ただ深月に対して「黙ってて!」と強く言い放つシーンでは、石山咲良ちゃんがもつ芯の強さがよく表れていました。
もっといろんな役が見てみたいと思ったメンバーの1人です。
伊坂しをん(演:吉田姫杷)
詠美とともに事件の容疑者として呼び出された演劇部員を演じます。
無実を訴えるシーンに説得力があり、真相がわからない段階でもどこか応援したくなってしまいました。
舞台はもちろん研修生としてもまだまだ新人ではありますが、真っ直ぐかつ自信のみなぎる姿が素晴らしかったです。
#3 Future(未来編)
コナン(演:石栗奏美)
発明の才能がある少年を演じます。
普段は口調が柔らかく優しいイメージですが、ここでは少しデリカシーに欠けたガサツな性格だったのが意外でした。
またジェンダーレスを意識した衣装でありながら、男性らしさをしっかり研究したことが伝わる動きにも注目です。
ダテに少年漫画ばかり読んでるわけでもなさそうですね。
朝井夏生(演:斉藤円香)
Nowの時代に生きるアガサのひいおばあちゃんを演じました。
第一印象は大人しそうでも自分が好きな話になるとペラペラと話し始めるところは、まさに斉藤円香ちゃんだなぁと思って見ていました。
そのぶん過去の改編によって性格がガラリと変わった部分は違和感が大アリでしたが、本人はノリノリで微笑ましかったですw
ただ最終的にはネガティブな遺伝子を受け継いだまま不幸な人生を変えられず、なんとも悲しい結末でした。
三島佐和子(演:松原ユリヤ)
Pastの時代に生きる夏生のひいおばあちゃんを演じました。
高価な壺を割ってしまうオチがありながら「わたし、失敗しないんで」というセリフを何度も言わされる姿に、笑いを堪えられないヲタクが続出しますw
ただ終盤では大女優さながらの色気を放ちつつ、グッとくる言葉でコナンを励ますなど涙も誘いました。
無理やり現代に連れてこられ気絶させられた挙句、記憶を消されて不幸な人生を歩む始末…。
夏生と同じく悲しいエンディングでした。
アガサ(演:橋田歩果)
コナンの幼馴染である少女を演じました。
ネガティブな性格のはずですが、時折みせるあざとさからは橋田歩果ちゃんらしい芯のある部分も感じられます。
とくにコナンの方が引っ込み思案だと発覚してからのラストシーンではアガサが自ら手を引いてコナンを抱き寄せるなど、遺伝子に負けない”強さ”を演出していたのかもしれません。
またNowパートで生徒会員を演じた際のブリっ子な姿も必見です。
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