モーニング娘。’18の65枚目シングルから『Are you Happy?』のミュージックビデオが公開されました。
尾形春水ちゃんの卒業シングルということで注目の集まっている今回の作品。
分析していきたいと思います。
動画が表示されない方はコチラ
尾形春水ちゃんラスト曲『Are you Happy?』のMVが公開
モーニング娘。’18の65枚目シングル『Are you Happy?/A gonna』が、6月13日に発売されます。
その中から『Are you Happy?』のミュージックビデオが公開されました。
今回のツアーでも披露されており、マサイ族のようなダンスで話題となってました。
私もいちど生で見てきましたが、民族衣装みたいなものを着ていたのでミュージックビデオのようなスタイリッシュさはなかったです。
そのせいか、歌詞のインパクトがもろに出てて重苦しい曲に聴こえました。
▼関連記事
5/13娘。コン【現場レポ】モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春~We are MORNING MUSUME。~ 香川公演
ミュージックビデオでがらりとイメージを変えてきましたね。
また尾形春水ちゃんがラストシングルということで、どのような立ち位置になるのかという点に期待していました。
『A gonna』よりはイイところにいたんじゃないでしょうか。
最後のシーンではどセンターですからね。
左どなりの牧野真莉愛ちゃんだけ腕を下ろしてます。
”マスコット的な主人公”と”重要な役割を担うキーマン”という関係は、「魔法少女まどか☆マギカ」のような構図で面白いと思います。
また視覚的にはセンターではないメンバーが1人だけ腕を下ろしているわけですが、適度に”ズラし”が入ってて面白いんじゃないでしょうか。
それ以外のところは左右対称で揃え、エースの立ち位置だけズラすと。
そういう意味では、ボロカスに言われてる「安っぽい床材」もビッチリ整ってて悪くないと思いますw
尾形春水ちゃんと背後につく羽賀朱音ちゃんの2ショットなんかも、涙腺がブッ壊れそうになります。
加入当初の12期は関係性にイロイロと問題がありましたし、とくにこの2人はパフォーマンス強化のためのドキュメンタリー企画が組まれたりもしてました。
こういった苦境が多かったメンバーの卒業は、いつも感極まるものがあります。
本人はこの扱いにどう感じているかわかりませんが、十分に泣かせられる演出だと思いますねぇ。
満たされることはない人間
『Are you Happy?』を初めて聴いたときの感想としては、とにかく欲にあふれているということ。
わたしもそうですが「いつか満たされる」と思ってひたすら前に進むわけです。
しかし人間は恐らく、どこまでいっても満たされないものなんでしょう。
ゆえに「足るを知る」なんて言われるわけですが、この曲では真逆を言ってるんじゃないかと思います。
「幸せですか?」と自分に問いかけながら、気のおもむくままに現状を変えようとする姿勢が見えました。
詳しく紹介します。
あいつはいいな あいつばかりね(You know?)
あの子もいいな この子もいいなここから出して ここから出して(Loneliness)
ここから出して ここから出して(Loneliness)
欲にまみれてますねぇ。
辛そうにも見えますが、本人にとっては現状維持こそがイチバン辛いことのハズ。
人間として生まれたからには欲にとらわれ続けるもの。
「ここから出して」という部分は、そんな運命を背負っていることへの叫びにきこえます。
すっごい好きだから すっごい寂しい
一緒にいた後は 不安しかない
一時的に欲を満たしても、さらに欲しくなる。
ついには欲を満たすことに対しても恐ろしくなってくる。
それでも求めてしまうというのは、なんとも不思議なものです。
話題になっているマサイ族っぽいジャンプのシーン。
本当にヤリでも持ってそうなポーズをしてますが、おそらく意識してるんでしょう。
マサイ族のジャンプには「求愛行動」の意味があるようなので、まさしく欲の表れです。
またコンサートでジャンプをしまくる人間も”マサイ”と呼ばれてますね。
他人への迷惑などまったく考えていないということで非難の対象になる彼らもまた、欲にまみれた姿をみごとに表しているんじゃないでしょうか。
価値観の循環する世界
「どこまでいっても満たされることはない」という真理を知ったにもかかわらず、欲を満たしつづけることに意味はあるんでしょうか?
わたしはあると思います。
この曲もおそらく”ある”というメッセージのもと、変化を求める姿を描いたんじゃないかと。
そう考えるヒントとして、このミュージックビデオでは「循環」を連想させるところがあります。
欲のレベルが上がりつづけた先には、いずれ原点に戻ってくると。
つまり価値観がループするということですね。
「どうせ帰ってくるなら、最初から動かなければイイじゃん」というツッコミもありそうですが、1周回った価値観というのは成長しているワケです。
同じものをみても、より幸せを感じられるような視点を身につけているハズ。
「足るを知る」ために、欲を満たしつづけていると言えるかもしれません。
だからこそメンバーたちに悲しげな表情が見えないのでしょうか。
『Are you Happy?』と関連づけて、詳しく紹介します。
もう遅いよ 愛の貯金なんて出来ないよ
もう遅いよ 今日は今日の愛
もう遅いよ こないだのサプライズなら
もう遅いよ リアクションしたでしょね
ねえ わかって 愛の予約なんて出来ないよ
ねえ わかって 明日は明日の愛
ねえ わかって 来年の誕生日の分
ねえ わかって 先に愛してね
「貯金」しておいた愛なんて使いものにならないし、「予約」しておける愛もあるかわからない。
愛とは価値観にひもづくので、生モノ同然です。
つまり「今日は今日の愛」だと。
欲を満たしつづけ、価値観が目まぐるしく変わっているさまを表したんじゃないでしょうか。
メンバーがくるくると回るフォーメーションで踊るシーン。
背景の柱にあたっているカラフルな照明も、色相環のように変化しています。
ほかにも腕をブンブン回すダンスがあったりと、”循環”をイメージさせる点が多いですね。
ドームのような背景からはSFっぽさを感じます。
マサイ族ジャンプのインパクトが絶大で、てっきり広大なサバンナを想像してましたから完全に真逆でした。
しかし、そんな近未来のイメージと狩猟民族のイメージを織り交ぜたところに強いメッセージがあるんじゃないでしょうか。
ストレスに殺されるか、外敵に殺されるか。
しがらみの多すぎる社会で生きている我々よりも、狩猟民族のほうが幸せなんじゃないかと考える人もいるかもしれません。
世界規模で考えると、「価値観のループ」どころか文明のループですよね。
ディズニー『WALL-E』の結末なんかは、このメッセージをよく表していました。
宇宙ですべての仕事を自動化した人類が、はじめて見た木の苗に感動して地球に降り立ちます。
そこで「娯楽」として植物を育てたり火を起こしたりして、文明をふたたび創るというエンディングでした。
現代では「やらざるを得ない」ということで仕事をするわけですが、『WALL-E』の世界では「楽しい」と思いながら農業や掘削をしているように見えました。
この感覚にいたるには「完全に効率化された社会」を体験する必要があったということで、文明がループしたと考えます。
価値観を育てるためにも、欲を満たしつづけるのは大事なことなのでしょうか。
『Are you Happy?』という問いには、「現状に満足するな」というメッセージがあるのかもしれませんね。
▼『A gonna』のMV分析
【歌詞・MV分析】 わがままに生きたら”えーがな”?モーニング娘。’18『A gonna』のミュージックビデオが公開!
▼テーマが近いかもしれない
あやちょのことばから読みとる、これからの生き方とは?和田彩花『乙女の絵画案内』
皆様の意見、間違った内容の指摘などがあればコメントください。
コメント